東宝特撮作品としては珍しく、海外版の小説である原作「夜の声」を題材にした作品。
怪獣映画というよりはホラーテイストの強い作品で、タイトルの「マタンゴ」も等身大のものが活躍、暗躍、動き回る。
その鳴き声は、バルタン星人(『ウルトラマン』)等に流用されており、一度は耳にした事がある人が多いようだ。
物語は、久保明演じる村井研二の回想シーンから始まる。
つまり、我々が目にする映画の内容は、すべて後日談であり過去の話なのである。
東宝特撮シリーズでは、数少ない部類に入る演出です。
それぞれの思惑を持った7人の若者達が、豪華客船で遭難。
辿り着いたのは無人島なのだが、人のような気配があった。
何かの生物が存在していたのだ。
難破船に残っていた食料が、各人の欲望、醜さを露呈する結果に。
人は生きるためなら、どんな残酷な事でも犯してしまうと言う事を目の当たりにするのです。
そこには、男女の性(さが)も盛り込まれています。
食べてはならないキノコを食するシーンは、必要悪的な欲望を抑えきれない人間の内面をも表現。
そのキノコを食すると、食べた人が次々とキノコ人間=マタンゴへと姿が変貌してしまうのだ。
水野久美さん演じる関口麻美は、妖艶な雰囲気を醸し出し、恐ろしくも美しくもありました。
村井は結果的に救出され目出度し目出度しでした、とはならない。
ほら吹き話として精神異常者としてのレッテルを張られていたのですが、彼の話が事実として証明される事に。
それは、彼自身のマタンゴ化への兆しでした。
ホラーらしい、恐いオチでした。
このオチも、東宝特撮では珍しいですね。
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